2004川名中学入学式祝辞  「出逢いと勇気の出るノート」

新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます

ただいまご紹介いただきましたPTA会長の武田 忍です

お役目を拝命して3年になりますので、この入学式の祝辞も3回目です

そこで毎年、最初にお話するのですが

実は私は滝川小学校出身の川名中学校出身です

34年前、この同じ体育館で入学式を迎えたひとりです

今日は、みなさんの一先輩としてお話します



みなさん、今日初めて訪れたこの川名中学の桜、気づきましたか?素敵だったでしょ

ここ数年はこの時期、散ってしまっていたのですが

 今年は、春になっても寒かったせいか、踏ん張ってくれて、それはそれは見事に、

みなさんのこの入学式に時期をあわせてくれたように咲いています

 みなさんが最初に通った校門の脇に咲いている桜は、おそらく今日が満開でしょう

校庭の上や北側にある桜並木は、桜のトンネルといってもいいほど絵になっています

私の中学入学のときも同じように咲いていました

34年前も今も変わらず、このすばらしい日に咲く桜は、ほんとうに素敵だと思います

どこで桜をみても、わくわくドキドキするのは、この川名中学の想い出があるからかもしれません

新しい制服に、はらり はらりと舞い散る桜は、まるでみなさんを祝福しているかのようです

すでに写真を撮られた方もいらっしゃるかと思いますが

まだの方は、帰りに ぜひ校門で、入学記念写真を撮っていってください



さて、今日入学式を迎えられた みなさんは桜どころではなかったかもしれません

これから始まる中学生活に きっと期待と不安で わくわくドキドキなことでしょう

着慣れぬ制服、新しい教科書、新しいカバン、

新しい友達、はじめて出会う先生、すべてが新鮮に映るはずです

今日はその気持ちを大切にしてもらうために、

「出逢い」の大切さについてお話ししたいと思います

みなさんは、有森裕子(ゆうこ)というマラソン選手をご存じですか?

1996年、みなさんが未だ小学校に上がる前のアトランタオリンピックのマラソンで

銅メダルを取った選手です

知っている人もいるかもしれませんが

そのオリンピックで、彼女は走り終わったあと、


「はじめて自分で自分をほめたいと思いました」


と言ったことがとても多くの人を感動させました


この「自分で自分をほめる」という言葉は、実は

彼女が高校生時代、駅伝の選手の補欠だったころ、

シンガーソングライターの高石ともやさんから聞いた詩に

 たいへん共感して日記に書き留めておいたそうです

そして、その言葉が9年経って、アトランタのときに すっとでてきたそうです

彼女の書いた本で「わたし革命」という自伝があるのですが、(よかったらぜひ読んでください)

けっしてエリート選手ではなかった彼女が、いろいろな人と出逢い、成長し、

気持ちでは人に負けないよう,自らを高めていく努力を怠らなかった様子がそこには書かれてあり、

思いつづければ夢は叶う ということを教えてくれています

そこに、その高石ともや さんの言葉のことも書かれているのですが、

出逢いは、決して人だけではありません 素敵な言葉や話にもあることがわかります


そうです、みなさんは、これから、実にたくさんのいろいろな人と出逢い、

また素敵な言葉と出逢っていくのです

学校の先生がいらっしゃるところで、失礼かと思いますが、

何も学校の勉強だけが勉強ではありません

これから大人になっていく過程で、どれだけ素敵な人と言葉に逢えるかも勉強のひとつです

学校の勉強より、素敵な友達や言葉が、どれだけ心のエネルギーになるか

心の中はみえませんが、 言葉になって、それがエネルギーになって生きていく・・・

言葉の力ってすごいと思います

そこで、みなさんの入学をお祝いして、

ひとつヒントというか、よい方法を述べたいと思います

有森さんのように日記をつけるのもいいですが、

「勇気の出るノート」というのを作りましょう

何かというと、このノートに

これから、みなさんが出逢った人や言葉や物、なんでもいいですから

感動したことを、日付とともに書き留めていきましょう

決して名言でなくていいのです、自分が、これで元気が出た これで救われた

小説の一行、先生に怒られた一言、ご両親の会話、テレビドラマの決めゼリフ

友達の名前、ゲームのエンディングテーマ、ほんとに何でもいいです

わたしなんか、この年になっても漫画で気に入ったセリフがあると、

ハサミでフキダシを切り取って、とっておくことにしていますそれはともかく

最近私が感動した言葉は、春の高校野球〜最後に名電が負けてしまいましたが〜

涙が出るほどいい試合だった済美高校野球部の「やればできる」です

このような感じで有森選手が日記に書き留めたように

この「勇気の出るノート」を大切に中学、高校、その先ずーっと続けていって下さい

そうして 宝物がいっぱい詰まったそのノートを

いつか自分が へこんだ時や、困った時、逆に嬉しい時、開いてみましょう


きっと、勇気が出る はずです

今の世の中やニュースは、ほんとにヒドイことが多く、

みなさんは、 とてもかわいそうだと思うことがありますが、

出逢いはいつの世も不変ですので、勇気の出るノートも不変です

さて、みなさんは

校門の桜から出逢いは始まって 別学区の知らない友達と出逢います

次に、このあと発表になる担任の先生

教科ごとに先生もちがうから、先生との出逢いも小学校とは数が違います

次に部活動や生徒会で、先輩との出逢いがあります

校歌や、新しい教科書との出逢いもあります

もし、書き留める感動する言葉がなかなか見つからない、のであれば

これから先、出逢った人の名前を書き連ねていくのも面白いかもしれません・・・・

あと、

出逢いに気づくためにも、ちょこっとは学校の勉強もした方が、いいですよ

ということを ちょこっとだけ加えておきます


さて 今日は先輩として、偉そうなことを言いましたが

大人を見ていて、あんな大人だけにはなりたくない、と、みなさん思うことがあるかもしれません

特に時期的に これからそういう機会が増えるかと思います

でも、その大人達も、みなさんと同じ時期を過ごしてきた、ということを心のどこかに

覚えておいてください出逢いの数は、あきらかにみなさんより多いのですから、

大人達とも是非よい出逢いをしていってください


最後に、

実は大人達がへたくそな・・・・

友達をつくるコツを伝授しておきましょう

簡単です

自分自身が明るくちゃんと挨拶ができて、感謝の気持ちを忘れずに

毎日を楽しくすごしていれば、自然と仲間ができます

授業に部活動に放課後に出逢ったことに いつも前向きでいてください

たったこれだけです 友達がいつの間にかできているはずです

そして最後のコツは、自分がどれだけ、出逢いをしているかです

「勇気の出るノート」は、つけなくても、

みなさんの心の中にこれから先、いっぱい いっぱい出逢いを書き留めていってください

どうか、出逢いとドキドキわくわくの中学校生活を過ごしてください


以上を持ちまして、お祝いの言葉とさせていただきます

2004.4.7(水)


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