釣り銭
昨日、名古屋駅の東海道線ホームにある売店(キオスク)で雑誌を買いました。千円札を出して、お釣りが750円です。売店のおばちゃんは、レジから釣り銭を出すのにえらく手間取っています。何をしているんだろう、まだ慣れていないのかな、なんて思いながら待っていました。そして、出された釣り銭を見てビックリしてしまいました。

信じられます?
お店で、こんな汚いお金を出されたことあります?
大きさからいって、おそらく500円だろうとは思いましたが、パッと見た瞬間は、日本のお金かどうかさえわからなかったですよ。10円硬貨のような色になっていますし、もしかして韓国の500ウォン硬貨かも知れないと思いながらも、かろうじて「日本国」の文字が見えたので、その時は黙って受け取りました。
自動販売機から出てきた釣り銭ではないのですよ。おばちゃんが、ちゃんと自分の目で確かめた上でこの硬貨を出したのですよ。
おばちゃんは、レジの中に、このような汚い硬貨が入っているのが嫌だったのでしょうか。できるだけ早く処分してしまいたかったのでしょうか。
もし、そうだとしたら、そのような硬貨を受け取る方は、もっと嫌だと思いませんか?
「これはないんじゃあない?」と抗議したかったのですが、次の瞬間、「これはネタに使える」と思い直しました。ネタに使う以上、実物の写真があった方がいいですよね。
私は、昔、銀行員をやっていました。
銀行では、長年使われてヨレヨレになっていたり、破れている紙幣が回ってきたら「損札」として、また何かの圧力で曲がっている硬貨は「損貨」として、いずれも回収し、ある程度集まったら日本銀行に持って行って交換してもらいます。決してお客さんに渡すことはありません。
お店でも普通そうですよね。
私の店では、レジ担当者に、お金の取り扱いに関して、次のようなことを徹底しています。
1.お客様には、紙幣はすべて表向きにしてお渡しする。
2.受け取った紙幣が裏向きになっていたら、表向きにしてレジに入れる。
3.なるべくヨレヨレの紙幣は出さないようにする。
---- どうしても釣り銭が足りないときは、やむを得ない
4.汚れていたり曲がった硬貨は別保管しておき、お客様には絶対渡さない。
このくらいのことは、客商売なら当たり前ではないでしょうか。
紙幣をすべて表向きにするというのは、銀行に入った初日に教わったことです。別の銀行では、紙幣の上下まで揃えていると聞きました。(よほどヒマなんでしょうね)
スーパーのイトウヨーカドーは、従業員教育が徹底しているなあといつも感心させられますが、やはりお金の扱い方はきちんとしています。お札の数え方など、まるで銀行員のようです。
銀座の高級クラブでは、釣り銭(と言っても五千円札か千円札)をすべて新札にしているところもあります。やはり、きれいなお札をもらうとうれしいですし、すべて新札なら感動しますものね。1人何万円も取られるようなお店では、そのくらいの手間をかけても十分元は取れるでしょう。
鹿児島市の城山公園(昔お城があったところ。西南の役で西郷隆盛が覚悟を決めて切腹した所)にある売店では、何か買い物をすると、釣り銭に新札の百円札を1枚入れてくれます。もう今では続けていないかも知れませんが、10年くらい前までは、やっていました。
新紙幣が出たり、硬貨に切り替わるとき、九州では旧紙幣の回収が比較的遅いと言われていました。百円がお札から硬貨に切り替わって数年経っても、まだ九州では百円札が一般的に使われていました。今ではもうそんな地域差はなくなっているかも知れませんが、昔はそうでした。ですから、鹿児島で百円札がたくさん残っていたというのは不思議ではないのです。
それでも、百円札、それも新札を出されると、ちょっと驚きますよね。
たかが100円の釣り銭でお客さんを感動させることもできるのです。
たかが汚い500円硬貨1枚で、2ページのレポートが書けました。
それにしても、この汚い500円硬貨、使いにくいです。いくら客でも、こんなお金で払うと、店員さんに露骨にいやぁ〜な顔をされますからね。そうかといって小銭入れに入れておいても気分が悪いし・・・
何も文句を言わない自動販売機で使うことにしますかね。