売るということは、教えるということ
これは、デパートの新聞広告です。
大きさは全5段。白黒で決して派手ではありませんが、インパクトがあります。
ここに載せた広告は、シリーズものの第4回ですが、私は第1回の時から気になっていました。
それは、キャッチコピーのユニークさに理由がありそうです。
「お洒落オヤジになろうじゃないか」
気になりますよね。そして、よく見ると、高級紳士服の広告です。第1回に載っていたスーツは、何と1着20数万円という高級なものです。今回のネクタイは1本12,000円ですから、ビックリする値段ではありません。
それにしても、特定ブランドのネクタイだけ宣伝するというのは、珍しいですよね。
しかし、ここには、デパートの提案があります。いろいろ取りそろえていますので、ご予算に合わせてお好きなものをお選びください、というのが一般的なやり方ですが、この広告はちょっと違います。○○ブランドのちょっと高級なネクタイを締めて、お洒落オヤジになろうじゃないかという提案なのです。
19世紀後半、パリに世界で初めてのデパート「ボン・マルシェ」が登場したとき、このデパートは、中流階級があこがれているブルジョアの生活スタイルを楽しむための商品をいっぱい揃えていました。たとえば、「ここで白い手袋を買いなさい。それは本当にブルジョアが身につけているような高級なものではないけれど、同じような世界を味わえますよ」といったメッセージがあったそうです。
この広告にもそのようなメッセージが感じられます。このように、プロとしてのセンスで、私たちの生活をレベルアップさせる方法を教えるという売り方に好感を覚えました。
(2004年10月15日)