ヨーロッパ放浪記

-----------------------------(酔うロッパ放労記)

 

.《ユーロスター》

  〜ベクトルとレール

前回から随分と間があいてしまいましたが、久々の掲載です
ユーロスターの前に、
昨日見ることができなかった
St.John’s College
のため息の橋がどうしても見たかったので
昨日借りたレンタサイクルを午前中は使えるので
もう一度キャンパス街へ

日曜の昨日とちがって、キャンパスは
観光客はいない、あきらかな学生たちがぽつりぽつりといるだけだ
St.John’s College
は、なにやら校舎を工事中とかで
入り口でインテリ風なおばさんに今日は一般人はだめだとか言われたが
どうしても見たいといって泣きそうな顔をして無理やり入れさせてもらった
観光客のいないひっそりとしたそのキャンパスは緑の絨毯が美しく
その校舎の中をケムズ川が通っている
(あっそうそう、ケムズ川といえば7つの橋、
数学の一筆書きの問題の解き方で出てきたなあ)

CAM(ケム)川にかかるBRIDGECambridge
その中に、このカレッジ出身のかの詩人ワズワースもため息をついただろう
と、思われる(実際渡るとその気持ちがよくわかる)
ため息の橋(Bridge of Sighs)はあった
最初、どこにあるのか迷ったが、なんと橋が校舎の中にあるのだ
こういう場所にくると、なんというのかなあ
先人たちの魂というか、その古い歴史的な校舎(寺院)と
とももに神々しくなるというか、全身が震えてくるのです
泣きそうな顔で頼んだのが本当に涙がでてしまった

もういちど言おう 学問をするならこういう場所で!

あと、St.Mary’s Churchで塔の一番上まで上り、
絵葉書のようなケンブリッジの街を一望し
King’s
 Chapelでルーベンスの傑作
三博士礼拝の図運命の出会いをする
そのときは、何気なく「ふーん」としか思っていなかったが
この後、ヨーロッパを回る先々で
ルーベンスの恐ろしいまでのバイタリティを見ることとなる

話は変わるが、ロンドンでTC1万円両替して以来、
餞別でもらった200Fを両替した以外、あとはぜーんぶ
クレジットカードだ、ケンブリッジの街中でATMというか
キャッシングマシーンに出会ってからというものの
カードを入れれば現地の通貨がでてくるこの便利さに従った

レンタサイクルをぎりぎりまで乗り回し
ケンブリッジの初夏の美しい芝生の緑に後ろ髪をひかれながらも
ロンドンへと向かった

さていよいよ、ユーロスターだ
なぜユーロスターにこだわったかというと
ドーバー海峡を渡る超高速列車ということもあり
乗っている間にディナーがでるというのもあり
ユーレイルで優遇されるというのがあった

ユーレイルも一等席だから気分がよい
ただ、バーンと最初のスタンプが押されてしまったから
いよいよ今日より15日間期限で乗り回さなくてはならない
そのWaterloo駅はさながら宇宙飛行にでも行くような
そう、ディズニーランドのスペースマウンテン(古いか)
にのる、あの感じです
チェックインも空港なみです
ホームに行けば立ち飲みのpubでもあろうと思いきや
なにもない
仕方ない、ディナーを(こちらにきて初めてまともな食事?)
楽しみにして・・・

さてそのディナーがくるまでの間、今回の副題について述べてみる
わたしは、ベクトルという言葉が好きだ
力と方向をもっているもの
なにかをしたい、どこかへ行きたい と意思があること
優柔不断な自分が一番憧れているものかもしれない
数学で、ちょっと角度のついた矢印のついた直線
ああいう感じで能動的に自分をなんとか決められないものかねえ
風見鶏のようなあるいは柳のような生き方は責任回避とも思える
さて、旅はベクトルか?である
少なくともレールの上ではベクトルである
行き先は決まっており、一直線である 
到着駅は途中下車でもしないかぎり決まっている
もし、人生がレールの轢かれてあるものであれば楽であろう
今回、あちきは文字通り脱線してしもうたからタチが悪い
ま、もっとも強いベクトルで進んでいたわけではないが・・・
ああ何がいいたいのかわからなくなってきた
今回の旅で、逞しくなること、自分で全部決めて全部責任をとる
と自分に言い聞かせたことだから、がんばらねば
でもね、宿を見つけること、空腹をいやすこと、酒をのむこと
こういうことでほとんどの時間がさかれてしまうのですね
生きてくってことはそういうことなのかもしれない
それでも「ちがうんだちがうんだ」って何かを求めつづけて
自分のそういう内部の気持ちを絵にしたり、音楽にしたり
精神を形に変換できる能力をもった人たちがいわゆる芸術家って

いわれるんだろうな
ヨーロッパへ来てそういうものにやはり憧れる
でも、わたしは酔うロッパ
しょうもないなあー
と、ユーロスターに乗りながらうたかたとそんなことを考えた・・・

さてさて、ユーロスター、
普通はパリ行きが多いのだけれど、わたしは東回りして
最後にパリに入りたかったので今回はベルギーブリュッセル行きだ
その車体からして格好がよい
9140ユーロスター14:23ロンドン発、18:02ブリュッセル着
たった3時間半あまりで海峡をわたってしまう
お待ちかねディナーだ
きょうはまだ一滴ものんでないぞーフリーのBEERを2杯のみ
白ワインをハーフ一本飲んだら一眠りしてしまった
うつらうつらしていたら、サービスについてのアンケート用紙が
配られ、寝ぼけまなこで書き込んだ後、またうつらうつらしていたら
目の前のアンケートが消えていた(係りの人が回収にきたらしい)
そこで、ふっと正気になり、なんで急になくなったんだと思い、
列車の中は気をつけたほうがよいなどという耳学問も重なり
目の前の網にいれてあったユーロスターのチケットとユーレイルパスを見ると
ない、
あっせたな、ユーレイルパスなくなっちゃったらどうしようもないもん
慌てて車掌を呼び、身振り手振りで説明し、2、3人の添乗員も加わり、
自分の座席のまわり大探しということになった
ああ、もうだめかと思ったそのとき、うしろから車掌がポンポンと肩をたたき
お尻を指差している
そうなのだ、寝ている間に盗られたらいけないと思い
さらに無くさない様、普段はいれないお尻のポケットにつっこんだままだった

Thank you
と Merci を連発し、またしても涙したのだった

そんなんこともあり、とんだドーバー海峡渡りになったが
さあ、ブリュッセル到着だ
チケット無くしたつもりで、ビールの国で今夜は飲むぞー!!


(以下次号へ続く)
次号6.ブリュッセル

 

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