2002川名中学卒業式祝辞  「アリの話と海外一人旅のススメ」

卒業生の皆さん、本日は本当におめでとうございます

こうして晴れの卒業式を迎えられ、

ご父兄のみなさま、先生、ともに、感ひとしおのことと思います

わたしは、昨年4月からPTA会長を務めさせていただいておりますが、

こうして生徒のみなさんにお会いするのはおそらく初めてだと思います

実は、わたしは川名中学校の卒業生で、ちょうど29年前この体育館で同じように卒業式を迎えました

あの頃と比べて随分、校舎も雰囲気も変わりましたが

今、川名中学校は名古屋市でも指折りの名門とのことです

他県から引っ越されてくる方は、あえて川名中学校のある、

この文教地区をご指名してこられるそうで先輩としてもとてもうれしいです。

今年のはじめに、当時の川名中学校クラス会を有志でひらきました

私は3年D組でしたが、本当に29年ぶりに会う仲間もおり、それはそれは懐かしかったです

小学校や中学校の同級生というのは、大人になっても会うと、

「あっあのころのイメージが残っている!」という部分が必ずあります

損得抜きに付き合った仲間には思いで深いものがあるのです

みなさんが卒業して離れ離れになっても、是非、将来お互いに会って、

川名中学校時代の楽しかったこと、また悲しかったこと、嫌な事もすべて思い出話にしてください

卒業生のみなさん、

もう進路が決まった人もいれば、来週月曜の公立高校の一般入試で気もそぞろの人もいると思いますが、

義務教育の過程を修了され、今日川名中学校を巣立つみなさんに、

きょうは先輩として2つの話をします

ひとつめは働きアリの話です。

これはアメリカの観察実験でも立証されているのですが、

働きアリは、つい、どのアリも一生懸命働いていると思われがちです

しかし、よーく観察するとその中に同じところをいったりきたりしている

いわゆるサボるアリが必ず何匹かいるそうです

じゃあ、サボるアリをピンセットでつまんで除外すれば、全部まじめなアリになるかというと、ちがうんですね

そのマジメなアリの中にまた、同じところを行ったり来たりのサボるアリが現れるのです

しかも、今度は反対にサボっていたアリばかりを集めて観察すると、なんとまじめに働きだすアリが、現れるのです

これはなにもアリだけに限ったことではなく、働き蜂や人間社会にも通ずるものがあるようです

ひとつの社会の中ではそれぞれに役割があるということです

みなさん、無事中学を卒業して、高校に進学する人、社会にでる人さまざまでしょうが

どんな環境になっても、いくら自分の役割だといって、

さぼるアリだけにはならないでくださいね

みなさんはアリではないのですから、川名中学校で出会えた素晴らしい仲間同士なのですから、

お互い、今度会うとき自慢話のひとつでもできるよう

わくわくドキドキしてがんばってください。

 

さて、もうひとつの話、これはわたしからのお願いというか希望です

それは、みなさん中学を卒業されたあと、10代のうちに、おそくとも20代前半の内に、

ひとりで是非、海外に一度は行ってほしいのです。

家族で行ってはだめです 仕事で行ってもだめです

国はどこでもいいです、バイトしてでもいいから、お小遣いをためて、それを日本国内で使うより、

一度は心が研ぎ澄まされているうちに海外を見ておいてほしいのです

一人で行く事により、いったい自分が何をしなければいけないのか

自分って何?とか見えないものが見えてくるのです

わたしは40歳を超えてから、いい年こいて、

1日2000円の貧乏ヨーロッパ一人旅を25日間かけてやってきましたが、

ああ、なんで若いときやらなかったんだろうとくやしくて、しょうがありませんでした。

是非、世の中、わからないことが多い人と思う人にはとくにお勧めします

あいさつや笑顔や感謝の気持ちがなぜ必要なのかってのも教えてくれます

まちがいなく、わくわくドキドキします

ああ、はなしが長くなりました

初めて会う皆さんもいるのに偉そうなことを言ってしまいました

2つの話、アリの話と、海外一人旅のすすめ

これをもって祝辞にかえさせていただきます

ご父兄のみなさん、卒業生のみなさん、ご卒業ほんとうにおめでとうございます!

そして最後になりましたが、PTAを代表して、

先生方、3年間ほんとうにありがとうございました

 

2002.3.

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