ヨーロッパ放浪記

-----------------------------(酔うロッパ放労記)


12.《ツェルマット》
  〜夢と山とVICTORINOX

7月7日(金)(15日目)
ベルリン発の夜行列車でスイスに向かう
とにかく、いろいろな国を見て回りたい、
という当初の目的に戻り、
ユーレイルパス15日間を有意義に使うべく
パリに行くまでスイス、イタリア、スペインと
くまなく駆け足でまわってやる計画を
その夜行列車の中で策定した

スイスではツェルマットには寄りたかった
その前に、ウィーンで出会った日本人女性が
かつてスイスにアルバイトでいたことがあり
スイス行くならバーゼルよ
っていうアドバイスをもとに、そのツェルマットの前に
バーゼルに立ち寄ることにした

朝7:58バーゼル着、
車掌が教えてくれなかったらドイツ駅の方で降りていた
バーゼルは田舎町
トラムの8(路面電車)(地球の歩き方は間違っていた)を
おばさんに聞いて(英語とメモと地図を駆使)、それに乗り
無事、三国(スイス、フランス、ドイツ)の国境にある
三国国境のモニュメント(Dreilanderecke)
にたどり着く
ライン河畔に建っているそれは、スイスにあり、
向こう岸の右側がドイツのシュバルツバルト(黒い森地方)
左がフランスのアルザス地方とのこと
(正確には河の真ん中が国境とのこと)

なんかこういうところへ来ると
3カ国同時に見られて得をした気分 ^_^;



そのあと、市立美術館Kunsmuseumへ



このあとバーゼル駅に戻る途中
変なターバンを巻いたインド人みたいな人に
声をかけられ手相を見てあげるといわれたので
さすがのお人よしのたけちゃんも
これはまずい、と思い、何とかきりぬけた
バーゼル駅前のマクドナルド(ほんとにこれだけはどこにでもある)で
ハンバーガーをほうばり
12:04バーゼル発でベルンに向かった
車中、こんなチャンスは2度とないだろうと思うほど
若いかわいい娘が声をかけてきた
(考えてみたらこの日はよく人に声をかけられた)
なにか一生懸命話すのだが、あいにくドイツ語かフランス語しか
わからないらしい
英語がまるっきり通じない
ああ、聞いてはいたが英語が通じない苦しさよ
とても日本に興味があるのはわかったのだが
肝心なことがわからない
うう、ドイツ語かフランス語を勉強するぞおって心に誓いました
(彼女はベルンの一つ前の駅で降りてしまった)
なんでデジカメで撮らなかったのだろう
とてもとてもキュート(という表現が合う)な娘だったのに・・・

ベルンではアインシュタインの家だけを見た

こういう名所は、不思議と決まって街中にあって
その場所は地元の人でもよくわからないところにある
ようするに、うろうろして街中で金を落とせよ、ってことらしい
スイスの名産みたいなのに目がいくが時間がない
次はブルークだ(なんとも忙しいスイス縦断だ)

ブルークからは直ぐにツェルマット行きの登山電車へアクセスできた
登山電車にユーレイルは使えない
往復63SF
ブルークへ行く電車の中もそうだったが
さすがスイス、いかにも登山客とおぼしき観光客が多い
しかも日本人が結構団体でいる
日本人は自分を含めて嫌だね
ひとりだと何もしゃべらないのに団体だと何かと五月蝿い
ヨーロッパまで来ておばさんたちの日本語はききたくないぞ
と言いながら安心している自分が嫌だな
登山電車の窓際には、この電車がいかに坂を登っていくかがわかる
断面図がついている

ツェルマットに行く途中、やったね向こうに見えるは
少し雲がかかってはいるが
あこがれのマッターホルンじゃないですか

ツェルマット着、ここでも猫がお出迎え

予約もなしに、ユースホステルに向かってテクテク
結構きつい坂を登山するが如く高台にそれはあった
2食付で43SF
2日ぶりのシャワーが気持ちよい
晩飯のサーモンのクリーム煮がうまかった
飯も細長い外米だがうれしい、やっぱパンより
腹が膨れる


ビールは無しで夕食を済ませ
外をぶらぶら、パブで小さいビールを一杯だけのむ
そうだ、明日マッターホルンが晴れて見えたら
地下ロープ−ウェイでスネガまで行ってみよう、と決心する
街中は結構人が出ていて、そうだなあ
ここは冬はまさにスキーをするところなんだ
と思わせる店がいっぱい
しかし、スイスは物価がチト高くはないか?
赤いVICTORINOXのナイフに目が行く
ああ、欲しいな 買おうかな どうしようかな
である
そんな贅沢はできん、と言い聞かせるのだが・・・

ここで、タイトルの説明

昔(になる)、20代、若かりしころ悪友たちと
40歳になったらみんな家族連れでツェルマットへスキーに行こうと誓い合った
(行きたかった)
結局、それぞれの都合もあり、わたしもプーになり、その話は流れた

夢のための夢だったかも知れない
でも、日々の贅沢や馬鹿な他の趣味に金を使わんと
コツコツ貯めればできたじゃないか
と考える
ほんとは、行きたくなかったのじゃないか
と自分を問いただし、この際、せっかくスイスんに来たのだから
確かめたかった それだけである

山登りをする人たちがうらやましい
そこに山があるから 登る という
もう何をおいても山が好きだ というのがうらやましい
わたしはどうしてこう気が多いのだ
人の喜んだり、感動するのを見ると
自分もそうなりたいとつい思ってしまう
話がそれるが、食い物もそうだ
人がうまいというと、その感覚を知りたいと思ってしまう
欲張り坊主の貧乏神背負いってやつだ

夢を形にする
これができそうでできない
おそらくは、もう来ないだろう ツェルマットを
形にしたかった
それが赤い VICTORINOXを買うことで
納得できるかと思った
明日、決めよう

もういい年こいて夢見る夢コではあかんし、
そういう柄でもなくなってきた

さびいしい と思った

自分の目の前のマッターホルンは
どうなっちまったんだろう

雲がかかっても、一応見ることができたんだ
上等じゃないか
と慰める

こんな思いを絵葉書に書きながら就寝した

7月8日(土)(16日目)

朝、起きたら窓から見たマッターホルンは雲がかかっている
ロープ−ウェイを諦める
その浮いたロープウェイ代で
昨日から悩んでいた赤いVICTORINOX 37SF
結局名前を彫ってもらわずに買うことにした
娘や息子にいつか、行ってこいと渡したい
と思って買ってしまった

ああそれと、話が前後するがユースで朝飯を食べるとき
人でもくもくと食べる50過ぎの日本人女性と話す
なんと、ひとりでスイスを回っていると言う
わたしは登山が好きなのよって
子供も育っちゃったし、こうしてスイスには何度も来ているらしい
団体は嫌いで、思う気ままに一人旅らしい
おお素晴らしい! 
だんなさんのことは聞き辛かったが死に別れたらしい

なんかプーで回っている自分が恥ずかしくなってきた
人間は最後はひとり
自分の楽しみ持っていないと
淋しいよなあ って思った
だから人を求める だよな とも思った

街中は朝早くから山羊たちがメェメェと蒸れをなして歩く
糞もあちらこちらだ
なんか絵になるその風景をみながら
ツェルマットを去ることにする
今日は何が何でもイタリアまで行ってしまおう
ツェルマットの駅の郵便ポストと駅構内
ここで絵葉書投函


昼飯は中継駅のブリークでハイネッケン500mlとサンドイッチ×2 で9SF
ずーっと電車に乗っているが、ミラノでうまくナポリ行きのESが取れた
8100Lt(おっと、とたんに単位が上がるリラだ)
日本円に直せば450円〜500円ってところだ
特等席なので飯でも出てくるかと思ったら(これがホントのイタメシだ)
別料金、ソフトドリンクのサービスはあった
まあいいや
ナポリに着いたらユースの飯など食わず
しっかり食の文化町で しこたま贅沢をしてやろう


(以下次号へ続く)

次号、《ナポリとボローニャ》〜スパゲッティの食べ比べ Scusi!

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