「独立開業のススメ」 インターネット講座　講座（３）

　● 広告宣伝・その１

　テーマからもおわかりだと思いますが、今回は広告宣伝という具体的な話をさせていただきます。

　会社勤めをしていても、広告宣伝に携わった経験のある方は意外と少ないものです。それも、効率的にお客さんを集めるための広告宣伝をやった経験がある人となると、読者の中に１％もいないでしょう。

　お客としてなら、頻繁に広告宣伝に接していますが、自ら広告主になるとわからないことばかりとおっしゃる経営者がほとんどです。

　そんな広告宣伝についてお話ししてまいります。
　

広告の効果測定

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　広告宣伝の目的は、ずばりお客さんを集めることです。

　しかし、広告宣伝の中には、その効果（どれだけお客さんが来てくれたか）が計測できないものもあります。

　たとえば、わが家で取っている新聞には毎日のようにいくつかのパチンコ店のチラシが入っています。いつもいつも「新台入替」と書かれていては、ありがたみがありませんね。

　チラシを入れた日に、前日より５％お客さんが増えたとして、それはチラシの効果なのか、それとも偶然なのか調べようがありません。そもそも主婦にしかほとんど見てもらえないチラシを入れて、効果があるのでしょうか？

　せめて、飲食店のクーポン付きチラシのように、クーポンの回収枚数でチラシの効果が測定できるようにすべきです。
　
　なぜ、効果の測定できない広告が多いのでしょうか。

　その原因のひとつに、惰性でチラシを入れているところが多いということが挙げられます。

　地元の食料品スーパーのチラシなどは、たとえそれを入れなくてもさほど来店客数に影響はなさそうな内容です。そのチラシを楽しみにしている主婦は確かにいますが、夕食の献立を考えるのに利用しているだけではないかと思われます。

　しかし、スーパーの担当者は、もしチラシを入れなかったらライバル店に客が流れるのではないかと不安に感じるようです。ライバル店の担当者も同じことを考えています。その結果、大して代わり映えのしないチラシを定期的に入れることになるのです。


広告代理店のテクニック

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　もうひとつは、広告主がどのようなチラシを入れればいいのかわからないので、広告代理店に依頼するケースで発生します。広告代理店は、依頼主から出来るだけ多くの予算を引き出そうとします。彼らは、依頼主から広告予算を引き出すためのノウハウは豊富に持っています。本当は、たくさんお客さんが集まる広告の作り方についてのノウハウをたくさん持っていて欲しいのですが・・・

　依頼主の予算が３０万円だとすると、「３０万円ではこの程度のモノしかできませんので、せめて５０万円くらい予算を取っていただかないと、いい結果は出ませんよ」と言います。依頼主もプロの言うことだからと信じて５０万円出したみたけれど、期待したような反応がない。広告代理店に抗議すると、「広告は１回ではなかなか効果は出ません。せめて３回くらい続けないと・・・」と答えます。

　ところが、５０万円をあと２回となると、とてもそんな予算は出せない。そして、広告は難しいものだということだけ学んで、５０万円は諦めてしまう。

　少し余裕があって、広告代理店の言うままにあと１００万円を出した社長も、３回やっても効果が現れないことに大きなショックを受けることになります。

　広告代理店が、大きな効果が現れる広告の作り方を知っているわけではありません。

　広告のプロは、商品を売るプロではありません。広告デザインについてはさすがにプロだなあと感心させられますが、デザインが優れているだけではお客さんを集めることはできません。

　広告に関して無知な経営者から、いかに多くの広告費を使わせるかについては、さすがにプロです。弁舌巧みにお金を引き出します。

　これが実態です。この点を勘違いしてはなりません。
　
　私が、初めて求人情報誌に求人広告を出したときのことです。最も小さいサイズで広告を出したにもかかわらず、担当者から発行日の翌日に反応を確認する電話がかかってきました。そのときは、そこまで気にしてくれているのかと感激したのですが、実は先方にとってそれが目的ではないのです。

　もし広告の反応がよくて、依頼主が「おかげさまで、たくさん電話がかかってきました」と言えば、「よかったですね。私もうれしいです」と答えます。

　逆に反応が悪かったら、「そうですか。やはり続けて２〜３回は出さないと、なかなか効果が出ないですね」と言って、続けて広告を出すように勧誘するのです。

　新規の広告主を探すより、既存の広告主に２度、３度と広告を出させる方がはるかに簡単ですからね。
　
　こうして、やり方によってはお客さんを集める上で極めて強力なツールである広告宣伝なのに、多くの場合、無駄なお金が使われることになるのです。
　

＜今回のまとめ＞

　●広告宣伝は、お客さんを集める強力な手段である。

　●しかし、多くの場合その効果を発揮せず、無駄金になっている。

　　　　　　　広告宣伝その２